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クリスマスの夜だから、聞きたいあの曲、見たいあの映画

日本人に人気のクリスマス・ソングはやはり「あの曲」

クリスマス・ソングと言えば山下達郎の「クリスマス・イブ」。1983年12月にリリースされて以来、30年以上にわたってこの季節の大定番となっている名曲だが、先日(12月12日)に放送されたテレビ番組「マツコの知らないクリスマスソング」のアンケートでも1位となっている。この調査、10代から50代まで各世代100人ずつ、合計500人にアンケートした結果だが、この調査で1位ということは、世代に関係なく幅広く愛されているということを意味する。
ちなみに、この調査ランキングは以下のとおりだ。

1位:クリスマス・イブ/山下達郎
2位: 恋人がサンタクロース/松任谷由実
3位: ラストクリスマス/ワム!
4位: 恋人たちのクリスマス/マライアキャリー
5位: クリスマスキャロルの頃には/稲垣潤一
6位: いつかのメリークリスマス/B’z
7位: サイレントイヴ/辛島美登里
8位: 白い恋人達/桑田佳祐
9位: WISH/嵐
10位: クリスマスソング/back number

実に7位までをバブル時代の曲が独占。いかに、あの時代のクリスマス・ブームが凄かったかがわかる。ほんと、あの頃はみんなどうかしていたのだと思う。

もちろん、個人的にも「クリスマス・イブ」も「恋人がサンタクロース」も思い出深い曲だが、本当はこの季節だからこそ、もっと多くの人に聞いて欲しい、思い出して欲しい曲がある。バンド・エイドの「Do They Know It’s Christmas?」という曲だ。

20世紀最大のチャリティ・ソングに込められた怒りと絶望

この曲は、イギリスのロック・ミュージシャンであるボブ・ゲルドフが、たまたま見ていたニュース番組でエチオピアの飢餓を知り、それを救おうと仲間のミュージシャンたちに呼びかけて制作されたチャリティ・ソングだ。参加したのは、U2のボノ、カルチャー・クラブのボーイ・ジョージ、フィル・コリンズ、ポール・マッカートニー、ポール・ウェラー、ポール・ヤング、ジョージ・マイケルなどなど。当時のイギリスのロック・スターが勢揃いと言っても過言ではない、そうそうたるメンバーだった。

楽曲は1984年12月3日にリリース。イギリスをはじめオーストリア、カナダ、ドイツなど欧米各国のチャート1位を獲得。イギリスで380万枚。アメリカでは250万枚のセールスを記録。20世紀最大のチャリティ・ソングと称されている。また、このプロジェクトにインスパイアされたマイケル・ジャクソンとクインシー・ジョーンズが後に「USA for Africa」を結成。あの「We are the World」を大ヒットさせるなど、その後のロック・スター、ポップ・スターによるチャリティ・ムーブメントのきっかけともなっているのだが、歌詞の中に発売当初から物議を醸したある一節がある。

Well tonight thank God it’s them instead of you.

「今宵、それ(飢餓の犠牲者)が、あなたの代わりに彼ら(アフリカの人たち)であることを、神に感謝しよう」という歌詞だ。このパートはU2のボノが歌っている。

当初、歌詞を見せられたボノは歌うことを拒否したという。アフリカの飢餓を救おうというチャリティ・ソングでなぜ、このような歌詞なのか? 歌えるはずがないというのがボノの主張だったという。

この歌詞の解釈を巡って、ボブ・ゲルドフとボノは何時間も議論したというが、最終的には「この表現は反語である」と言うボブ・ゲルドフの主張を聞き入れてボノは歌っている。美辞麗句を並べたきれい事のチャリティ・ソングではなく、本音を語りながら、しかしこのような状況を生み出した世界に対して、あるいはなにもできない自分たち自身に対する怒りの表現とするためには、このフレーズはやはり必要だと納得したのだろう。

あれから30年。世界はいまだに苦しみや悲しみや憎悪に満ちていて、先日もドイツでテロ事件が起きている。平和な日本で生きている僕らは、クリスマスの夜にわざわざ世界の過酷な状況にわざわざ思いをはせる必要はないのだろうが、家族や恋人などと一緒に過ごせる幸せな時間は、いったいどのようにして得られたのか、得られているのかを考えてみるのも悪くないと思う。だからこそ、僕は毎年、クリスマスになればこの曲を思い出す。そして聞き返す。

Well tonight thank God it’s them instead of you.

この曲をまだ聴いたことのない人は、動画を貼り付けておくので、今年はぜひ聞いて欲しい。

 

法廷で証明された「ホンモノのサンタ」とは?

さて、クリスマスの夜にはぜひ見て欲しい映画もある。「三十四丁目の奇跡」という映画だ。1947年公開のアメリカ映画でモノクロ版だが、2006年にカラーライズ版が発売されている。

NYの街にやってきたホンモノのサンタが、ひょんなことから百貨店のクリスマス商戦のキャラクターとして採用される。そして、子どもたちに大人気となるのだが、それでは都合の悪い大人の策略によって精神病院に放り込まれる。「彼は、自分をホンモノのサンタだと信じ込む、妄想癖のある精神病患者だ」というわけだが、このサンタを救おうと立ち上がった弁護士によって裁判が行われ、彼がホンモノのサンタであることが証明される。法廷の場で「ホンモノのサンタ」であると、裁判官に認めさせたそのロジックとは?

物語は、この裁判劇を縦糸に、サンタを救う弁護士と、サンタの「上司」であるシングル・マザーとのラブ・ストーリー、そして、シングル・マザーの娘との心の交流を横糸に紡ぎ出される。クリスマスの夜にふさわしい、ハート・ウォーミングな映画だ。僕は毎年、クリスマスの夜にはこの映画を見る。今年も見ようと思っている。未見の方はぜひ、ご覧いただきたい。

https://youtu.be/ORmwFTKvPXE

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竹井善昭

CSRコンサルタント、マーケティング・コンサルタント、メディア・プロデューサー。一般社団法人日本女子力推進事業団(ガール・パワー)プロデューサー。

ダイヤモンド・オンラインにて「社会貢献でメシを食うNEXT」連載中。
http://diamond.jp/category/s-social_consumer
◇著書◇「社会貢献でメシを食う」「ジャパニーズ・スピリッツの開国力」(共にダイヤモンド社)。 ◇翻訳書◇「最高の自分が見つかる授業」(Dr.ジョン・ディマティーニ著、フォレスト出版刊)

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